大学4年生のとき、仲の良い後輩が私に起潮力について質問してきた。
その後輩は、月による引力で地球の一方が引っ張られて伸びることは分かるが、月と正反対側の方向にまで潮汐が発生する理由がよく分からないと言っていた。
おそらくほとんどの学生がそうだろう。
一般的に、物体の変形は力が働く方向に起こるため、下の図を見ると地球がまるで両側から引っ張られているかのように考えてしまいやすい。
しかし、これは「差動重力」という概念で理解しなければならない。
1. 万有引力と差動重力
起潮力は万有引力によって発生する。
したがって起潮力が発生する理由を知るには、まず万有引力の公式を確認する必要がある。
万有引力の公式は、皆が知っているように次のとおりである。

この記事を読んでいる人たちはある程度知識があるはずなので、それぞれを説明するのは面倒だし、さっそく本題に入ることにする。
ここで重要なのは、距離によって重力が変わるということである。
では、これはどのような現象をもたらすだろうか?
例えば下の図のように、同じ質量を持つ3つの物体をある紐でつなぎ、地球の周りにそれぞれ異なる距離に配置したとしよう。
紐は伸び縮みしないものとする。

万有引力の公式では質量の変化がないので、万有引力はもっぱら距離によってのみ変化する。
したがって、物体に作用する力の大きさは距離が最も近い物体1が最大であり、物体3が最も小さい。
これを図で表すと下のようになる。

図のように、1つの天体に対して距離によって重力の大きさが異なることを差動重力という。
このときに働く力を物体2の立場から表すとどうなるだろうか?
3つの物体に作用する力はそれぞれ異なるが、1本の紐でつながれているため同じ加速度を持たなければならない。
物体1は物体2との力の差の分だけ物体2を引っ張らなければならず、物体2もまた物体3との力の差の分だけ物体3を引っ張らなければならない。
これを図で表すと下のようになる。このとき物体2にはどのような力がかかるのか見てみよう。

物体2の立場では、物体1と物体3の両側の方向に張力が作用することになる。
差動重力によって、両側から引っ張られる力を受けるわけである。
2. 例を通して理解する差動重力
まだよく分からない人のために、もう少し分かりやすく説明してみよう。下では3人が手をつないで走っている。
いちばん前の人は強い力で走り、後ろに行くほど走る力は弱い。
しかし真ん中の人は、3人とも手をつないでいるため、同じ力で加速される。
そうすると真ん中にいる女性が感じる力の向きは、おそらく両側から引っ張られているように感じるだろう。
前の人は前方へ引っ張り、後ろの人は前の方へ引っ張ってやらなければならないからである。


3. 結論:差動重力とは?
1) 質量をもつ物体が互いに及ぼす重力は、距離の2乗に反比例する。重力加速度の大きさも同様である。
2) 2つの物体の距離が近いほど重力加速度は大きく、2つの物体の距離が遠いほど重力加速度の大きさは小さい。
3) 天体の大きさは非常に大きいため、1つの天体の内部であっても、重力を生み出す別の天体からの距離の違いに応じて重力加速度の差が存在する。
4) 天体同士の距離によって重力が異なるため、1つの天体の中であっても重力を異なって受けることを差動重力という。ここまでの内容が理解できれば、起潮力も容易に理解できると思う。
差動重力によって起潮力が発生し、起潮力によって惑星の衛星が破壊されて環ができたり、公転周期と自転周期が同じになる同期自転が起こったりする。
もう少し深く理解したいなら、下の記事を読んでみてほしい。

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