運動星団についての記事を書こうとして、恒星の空間速度についても書くべきだと思ったので残す記事だ。
恒星の視線速度、接線速度、空間速度について調べようと思う。
1. 恒星の視線速度と接線速度、そして空間速度

一般的な天体の動きは観測者に対して無作為な方向に動く。
恒星が実際に宇宙上で動いている速度を空間速度と呼ぶ。
そして観測者の視線方向への速度を視線速度、視線方向に垂直な方向の速度を接線速度と呼ぶ。
2. 視線速度の測定
視線速度はスペクトル線のドップラー効果を利用して求めることができる。
実験室で測定した固有波長(λ0)に対して観測波長(λ)を比較し、ドップラーシフト(∆λ)を求め、これにより恒星の視線速度を求めることができる。


恒星が観測者から遠ざかる場合、赤方偏移が現れ観測スペクトルの波長は長くなる。
この時、視線速度は正である。
恒星が観測者に近づく場合、青方偏移が現れ観測スペクトルの波長は短くなる。
この時、視線速度は負である。
3. 接線速度の測定
恒星の接線方向速度により天球上で恒星が移動するように見え、これを固有運動と呼ぶ。
固有運動は1年に何秒の角距離を移動したかを測定し、単位は''/yrである。
例えばバーナード星は大きな固有運動を示す代表的な星である。
バーナード星の固有運動値は10.3"/yrである。以下の図は1985年から2005年までバーナード星が移動する様子を示している。

固有運動を利用すれば恒星の接線方向速度を求めることができる。
図のように固有運動(μ)を示す恒星が距離dだけ離れていると仮定しよう。

恒星の動きに比べて恒星までの距離がはるかに遠いため、これは円運動の一部と考えることができる。
したがって、固有運動を角速度、距離を円運動の半径と考えると接線速度はこの2つの値の積で表される。

接線速度の単位はkm/sであるため、上の値を掛ける時に単位を統一する必要がある。
''(秒)とpcを掛けるとAu単位が出てきて、1年を秒に換算して計算すると以下のような値が得られる。

上記の式で実際の1Au値である149,597,870,700mを代入すると約4.74km/sの値を得ることができる。
これを利用して両辺の値を再度合わせると以下のようになる。

4. 恒星の空間速度
恒星の空間速度はピタゴラスの定理を通じて求めることができる。
空間速度は視線速度の2乗と接線速度の2乗を合計した値の平方根を求めればよい。

4. 結論
恒星はあらゆる方向に動く。恒星の速度を空間速度と呼ぶ。空間速度は視線速度と接線速度の合計である。
視線方向の速度を視線速度と呼ぶ。視線速度はドップラー効果を通じて測定する。
接線方向の速度を接線速度と呼ぶ。恒星までの距離を知っていれば固有運動を通じて接線速度を求めることができる。
空間速度は視線速度と接線速度を利用し、ピタゴラスの定理を活用して求めることができる。
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