中学校3年生に雲の発生について授業をしているときに断熱膨張について説明した。
子供たちが最もよく質問するのは「空気が膨張するのに、なぜ温度が下がるの?」ということだ。
生徒たちは断熱膨張について難しく感じているようだが、ネイバーブログにはこれについて簡単に説明している記事があまりないと知って驚いた。
それで、今回は断熱膨張についての記事を書こうと思う。

1. 気体分子運動論
気体分子運動論は、気体の物理的現象を分子の運動で説明する理論である。
中1のときに学ぶ内容に拡散に関するものがある。
香水の香りが周囲に広がる過程を粒子の運動で説明するもので、これは気体分子運動論の味見と言える。

気体分子運動論で最も重要なポイントは、気体のどの物理的性質をどう説明するかということである。
気体分子運動論は以下の仮定を満たす理想気体を仮定している。
理想気体とは、物理的法則を満たす実在しない仮想の気体である。
1. 気体分子は質量は存在するが、体積は存在しない。
2. 気体分子は互いに力を及ぼし合わない。
3. 気体分子が起こすすべての衝突は完全弾性衝突である。
4. 気体はどんな温度や圧力でも絶対に液化または昇華しない。
5. 気体分子の平均分子運動エネルギーは絶対温度のみに比例し、分子の大きさ、形状、および種類には影響されない。
[ウィキペディア - 気体分子運動論]上記の1, 2, 3, 4は物理的現象を分子運動で説明するときに気体分子間の引力や分子自体の体積といった他の物理的要素を排除するためである。
これにより理想気体の物理的特性は、気体の圧力(P)、気体の体積(V)、気体の絶対温度(T)のみに関係がある。
気体の圧力 : P
気体の体積 : V
気体の温度(絶対温度) : Tここで注目すべき内容は仮定5番である。気体分子の平均分子運動エネルギーは絶対温度にのみ比例するということ。
わざわざ「平均」という言葉を使ったのは、分子の運動が無秩序であるため一つの温度を仮定しても気体中の分子の速度が全て違うからだ。
いずれにしてもこの言葉は絶対温度(T)が高い気体ほど気体内部の粒子の運動が活発であるということを示している。
気体の温度が高ければ分子運動速度の「平均」が高く、気体の温度が低ければ分子運動速度の「平均」が低い。
このことを知ることが、断熱膨張が起こると温度が下がることを理解するための第一歩である。

2. 断熱膨張が起こる理由
断熱膨張と断熱圧縮を総称して断熱変化という。
前に「断熱」という言葉が入っている理由は、空気の体積が変化しても外部との熱の出入りがないためである。
簡単に言えば、空気を加熱したり冷却したりしなくても空気の体積が増加したり、減少したりすることだ。
大気中で空気が上下方向に移動すると、空気の体積が変化する。
これは気圧が変化するためである。

空気にも重さがあるため、地表近くの空気は上方から押す空気の圧力によって圧縮され、気圧が高くなる。
地表面から空高く上るほど、上から押す空気塊の量が減少し気圧は低くなる。
もし地表で加熱されたある空気が上昇すると、周囲の気圧が低くなるために空気の体積が大きくなる現象が発生する。
このような変化を断熱膨張と呼ぶ。逆に地上高くにあった空気が下降すると体積が減少する断熱圧縮が起こる。

例えば、上の写真のようにヘリウムが入っている巨大な風船を飛ばすと、この風船は通常成層圏あたりで破裂して落下する。
成層圏まで上がると気圧が大変低下するため、最初は机の大きさだった風船が部屋一つ分の大きさになる。
このような風船の大きさの変化も断熱変化に該当する。風船の大きさの変化が熱によって表れたものではないからである。
3. 断熱変化と気体の温度変化
まず断熱膨張が起こるときについて見てみよう。下の図のように膨張する風船、または気体があるとき、気体が膨張するのは気体分子の運動によるものである。
分子が気体の境界を押し出して戻ってくるときには最初より速度が減少することになる。
気体分子の運動速度減少は温度が減少したことを意味する。したがって、気体が膨張すると温度が下がる。

もっと簡単に考えてみよう。自由に動くことのできる物体に野球ボールを投げた場合、ボールが戻ってくるときの速度はどうなるだろうか?
物体は後ろに押されることになり、衝突後戻るときの速度は最初よりかなり減少していただろう。
もしこのような実験を宇宙空間で行ったとすれば、物体は速度を持って野球ボールと反対方向に移動しただろう。
この場合、野球ボールは物体に運動エネルギーを分け与えたので「仕事」をしたと言うのだ。
もし上記のように気体が膨張しながら周囲の気体を押し出したなら、気体が外部に対して仕事をしたと言うことになる。

一方、断熱圧縮が起こるときには上記の状況とは全く逆の状況が発生する。このときは外部の圧力がより高く、気体が圧縮されるため、外部の気体分子が衝突して気体内部の分子の速度が速くなる。これは温度の上昇として現れる。
下の図のように、近づいてくる物体に野球ボールが衝突することで考えると理解しやすいだろう。

4. 結論
上記の話を要約すると以下のとおりである。
気体分子の運動エネルギー(速度)と気体の温度は比例する。気体が膨張するのは気体内部の分子が外の空気を押すためであり、このために運動エネルギーが減少する。
したがって、断熱膨張が起こると気体の温度が減少する。
以下の映像はYouTubeから取ってきたもので、これを見ると理解に役立つと思う。
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